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東京高等裁判所 平成9年(行コ)91号 判決 1998年4月27日

神奈川県鎌倉市大船一丁目九番一二号

控訴人

有限会社大橋屋

右代表者代表取締役

若林重利

右訴訟代理人弁護士

鈴木義仁

鈴木裕文

増本一彦

神奈川県鎌倉市佐助一丁目九番三号

被控訴人

鎌倉税務署長 橋本文男

右指定代理人

齊木敏文

松原行宏

大野武治

佐伯泰志

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一  控訴人は原判決取消しとともに原判決三頁以下の「第一 請求」に記載の判決を求め、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

二  事案の概要は、原判決四頁以下の「第二 事案の概要」に記載のとおりである。ただし、原判決三六頁七行目末尾に続けて「その結果の昭和六一年八月期の納付すべき税額は〇円、昭和六二年八月期のそれは一万九九〇〇円、昭和六三年八月期のそれは八万二八〇〇円である。」を加える。

三  当裁判所も控訴人の本訴請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおり改めるほか、原判決四六頁以下の「第三 当裁判所の判断」に示されているとおりである。

1  四八頁一行目の「会社概況」から「重利は」までを「重利が」に改め、二行目の「やむを得ず」及び八行目の「これ以上」から「判断し、」までをそれぞれ削り、四九頁一行目の「年内に」を「こちらから」に、八行目の「のほか」から九行目の「がおり」までを「がいたが」にそれぞれ改める。

2  五〇頁一〇行目の「立会人」を「右入室した会員」に、五一頁一行目の「、その場が騒然となった」を「退席しなかった」に、三行目の「立会人」を「右入室した会員ら」にそれぞれ改める。

3  五二頁四行目の「午後」から末行までを「シャノンに赴き、秀子と面談したが、協力は得られず、調査は進展しなかった。」に改める。

4  五八頁末行の「尋ねた」を「求めた」に改める。

5  六〇頁五行目末尾に続けて「乙九ないし一一によれば、昭和六一年から六三年の各八月期の決算報告書に、控訴人が役員報酬及び従業員給与を年度ごとに引き上げてきた記載のあることが認められる。しかしながら、これら記載内容の真否を調査する必要もあり、更にはその他、法人税額を確定するために事実の調査が必要とされたことから、質問調査権が行使されたことは、前記事実から明らかである。そもそも、税務当局は、青色申告の承認を受けた法人の申告についても、これが適正なものであることを確認すべき責務を負っていると解すべきであり、その責務の履行として定期的にその確認のための税務調査をすること(必要があれば法人税法一五三条以下の権限を行使すること)も当然適法な権限の行使である。」を加える。

6  六二頁六行目の「できない」の次に「(仮に右供述部分が真実であるとしても、右調査対象の拡大が直ちに違法となることはない。)」を加え、末行及び六三頁二行目の「税理士」を「弁護士や税理士等」にそれぞれ改める。

7  六五頁八行目の「前記認定」から同行目末尾までを「前示認定のとおり控訴人が本件調査に第三者を立ち会わせることに固執していたことは明らかである上、本件全証拠(特に甲六)に照らしても、控訴人が法人税法一二六条(同法施行規則五三条ないし五九条)の定めに適合する帳簿の作成、保存を行っていたとは認められないことを勘案すると、採用の限りではない。」に改める。

8  六七頁八行目末尾に続けて「しかも、本件調査においては、控訴人の帳簿書類の備付け、記録又は保存の態様が一切確認できなかったことは明らかであり、本訴においても、当時の適法な帳簿の備付け等がされていたと認めることができないから、法人税の調査において控訴人が理由なく帳簿書類を提示しなかったことを処分の基因となった事実として理由に付記してした本件青色申告承認取消処分(甲四)に違法はない。」を加える。

9  七四頁一行目の「同業者比率」を「同業者率」に改める。

10  七五頁一〇行目の「認められ」の次に「、より真実に近づけようとした結果にほかならない。また」を加える。

11  七六頁一行目の「また」を「さらに」に、七行目の「しかし、」を「これについて判断するに、前示同業者率は、適切な比準類似同業者が得られる場合には、推計の確度が高く推計偏差が少ないという利点がある。そして、精確度の観点からすると同業者と比準同業者との個別類似性が強調されなければならないが、これを強調すればするほど比準すべき同業者の件数が少なくなるし(完全に同一の比準同業者を求めることは不可能であるから、件数が少ないと特殊要因による揺らぎが大きくなる。)、他方、比準同業者の件数を増やすほど個別類似性を捨象せざるを得ない。このような中で、」にそれぞれ改め、一〇行目の「同一の」の次に「条件の」を加える。

12  七八頁七行目の「(なお」から九行目末尾までを「直ちにこれを斟酌するまでの必要はない。そもそも、控訴人がその特殊性を主張する従業員の数、取締役及び従業員の報酬、給与額、仕入原価等についての具体的な事実(実額)の指摘及び立証はないので、比準された他の同業者との比較についての控訴人の主張を採用することはできない。」に改める。

13  七九頁四行目末尾に続けて「倍半基準に代わる他の方法が相当であるとする具体的な事実関係を認めるべき証拠もない。」を加える。

14  八〇頁七行目の「所得税」を「法人税」に改める。

15  八四頁三行目の「このような」から四行目末尾までを「本件推計課税が行われた事業年度全般にわたり現金出納帳が作成されていたとは到底認め難い。」に改める。

16  八五頁末行の「これ」を「この齟齬」に改め、八六頁二行目の「このこと」の次に「に関する説明」を加える。

四  本件控訴は理由がない。

(裁判長裁判官 稲葉威雄 裁判官 塩月秀平 裁判官大藤敏は転補のため署名捺印することができない。裁判長裁判官 稲葉威雄)

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